死にかたのための生き方
9月17日、木曜日。
新しいレンジが到着する日。よりによって朝の7時台に配送業者から電話が入った。
かけていい時間稼働かも分からない相手に何を言っても仕方ない。
15時から歯医者だからその前に来ることになった。
それから眠れない。眠れない。ようやくうとうとして、1時間半ほど。夢を見た。
かなり古くなっている実家にいた。
庭はまだ、花が好きだった母の名残で(母まだ存命だけど)生き生きとしていた。
治そうとしても治らない実家。
建て直そうにも建て直せない実家。
それは自分の病の現状のようにも感じる。
夢の中であることをわかっていながら、自分の限界を痛感する。
ボロボロのゴミクズの中で、私は蓮の花を描こうとしていた。正確には、その花を描きたいという衝動があった。
夢はそこで終わった。
夢判断するつもりもないし、分析も要らない。
ただ、あぁそういうことか、と思った。
もうそれほど、これから先に高望みはしてない。
今まで遊びでも仕事でも、やりがいがあったし、達成感もあった。たくさんの感謝と笑顔をもらった。
そんなに思い残してない。
でも、叶うなら。
残りの人生、美しいと思うもの、心打たれるものに触れていきたい。
それが写真でも絵でも、なんでも構わない。
それが後世に残ろうと残るまいと関係もない。私は証を残せばいい。
それが、いつになるか分からない死への私の道のように思えた。